吃音のある小学生とのレッスン ~月に2~4回半年程~
初見
(仮名 花ちゃん、2年生)
明るく利発なお子さんで質問にも興味を持って的確に答えてくれる。
・扁桃腺肥大ということもあり息の通り道が狭く
浅い呼吸になっている
・お腹を押し出した様な立ち方をしている
呼吸を深くするために
・お腹を突き出すのでも、「気をつけ!」の姿勢でもない
呼吸しやすい立ち方を練習
・息をを吸った時にお腹が膨らむ呼吸を練習
・スムーズに息が流れるための口の動き(舌、顎)の練習
〇 準備体操代りに好きな歌を唄う。
吃音のある方の特徴として歌はつかえず唄えるとのこと
花ちゃんの場合も上手に唄える。(音程もよくとれる)
〇 立って動物の鳴き声を真似してみる。
犬やねこ、ねずみ、その中で
・狼の遠吠え 裏声で「ウォー」と響く声
・子犬の「キャン」と言う様な高い声
これらはお腹から全身を使って声を出す練習になり
口の中も良い具合に開く
★遠吠えをする時、最初は息が途切れてしまった。
(吃音の状態)
そこで私が後ろに立ち花ちゃんのお腹を抱え込み
股関節から上半身を曲げた、くの字の様な体勢(お辞儀)になると
スーと息が流れ、素敵な長い遠吠えになった。
「すごーい」とで喜んで
「じゃーいつもの立ち方(お腹を突き出した姿勢)だとどうなる?」と
やってみると息が途切れてしまう。
なので多少お辞儀をした様な体勢に戻すと
私が補助しなくてもきれいに息が流れた。
その後上手くいかないと立ち方を意識出来る様になった。
〇俳句カードでかるた取り
なるべく練習でなく遊び感覚で出来ることを考え出した。
「はい!」と大きな声で取ったり
「俳句を即興で歌にしてみて」と提案すると
難しいかと思ったが楽しく挑戦してくれた。
多少照れながらも上手に唄ってくれたのでお母様も驚いていらした。
★こんな風に遊ぶ中で私が思いつくまま
反復したり、変化形を入れたりして、スムーズに言える頻度が増えていった。
〇早口言葉
わりとスムーズなものもひっかってしまうものもあった。
★犬になってやってみよう と言って四つん這いになって言ってみたら
驚くほどの速さで
「隣の客はよく柿食う客だ!」と言えてしまって
私もお母様も本人もびっくりした。
四つん這いという体勢で呼吸の流れが良くなるかも
というアイディアが功を奏した。
一番大切なこと
ご家族に宛てたメールより
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レッスンをお引き受けするにあたり私が思ったのは、
吃音を直そうと努力するのはいいことですし、
私が親であってもそうしたと思います。
ただ そうするとどうしても
すらすら言えた時は「よくできました」
言葉が出ない時は「残念」と言うふうになってしまうなぁと思ったのです。
もちろんそれはそうなのですけれど、
吃音がある事は 花ちゃんの人としての価値に
何ら影を落とすものではないと思っています。
そう思っている人はたくさんいると思うし、
心ない扱いをする人がいたら 恥ずべきなのは
その人の方だと思います。
そんな風に胸を張っていてほしいと思います。
ご紹介いただいたページに吃音は治ると書いてありましたし、
きっと治ると思っていますが。レッスン回数の件...
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返信より
いつもお世話になっています。
娘の吃音ですが実家に帰っている最中も調子は良いようです。
先生が前回のレッスンの終わりに、
「ここではスラスラ喋れるように練習しているけれど、
普段はつっかえたっていいんだよ」と言って頂いたことで、
娘も気が楽になったのではないかと感じています。
本当にありがとうございます。
スラスラと話せる成功体験を積んでいくことが
重要なのではないかと思っています...