こんにちは
声楽家、アレクサンダー・テクニーク教師
木俣時子です。
裏声と地声 聞き分けることはできますか?
出し分けることは?
当たり前にできるよ と言う方も多いと思いますが
あまり意識していない方もあるかもしれません。
ここではまずしくみの違い、そして使い方で私が気になることを書いて見ます。
声帯の動き
声が出るしくみを簡単にいうと
①息をはく→②息によって声帯が振動する→③声道で響きや言葉が作られる
ということになります。
声帯が振動しただけだとブーという唇でつくるバズィングのような音だそうです。
その原音が声道でを通ることによって響き、
私たちの声とになるのですが
「地声と裏声の区別」、「音程」は声帯の動きによります。
これは前回のブログ 喉の構造(基礎編)に載せた図ですが
左上は喉仏の部分を側面から見た図。他は上から見た図です。
耳鼻咽喉科でご自分の声帯を見たことがある方も多いと思います。
鼻からファイバーカメラを入れるので上から見て入るわけです。
では下図は何でしょう?
wikipedia からダウンロードさせて頂きました。
私はなかなかピンとこなかったので丁寧に(しつこめ!)説明させて頂きます。
こちらは喉仏から気管のあたりを背中と平行に切った断面を背中側から見た図です。
(看護rooさんからフリーイラストを頂きました。ありがとうございます)
左右の声帯筋の断面が三角に見えていますね。
声帯筋は上から写すと、白いきし麺のように見えますが(私だけ?)
厚みがありその断面の動きを表したのが
1~6までの図です。(きし麺が金太郎飴だったら金太郎の顔が見える面)
動画ではさすがに上からしか見られないので断面の動きをアニメーションで見ましょう
私としては4,5,6,1,2,3,の順で
一番離れたところから段々触れ合いまた離れるという順がわかりやすいです。
1~6を一周として一秒間に何周するかで音程(ヘルツ)を表せます。
声帯が作る音程については別の機会に。
地声と裏声の違い
上記 wikipedia によりますと
赤いMusculus vocalis 声帯筋の先に
黄色のLigament 靭帯 があり
オレンジのMucos 粘膜 がそれらをおおっています。
(これらを合わせて声帯ヒダと言ったりします)
地声 発声時の声帯の動き 図 1
地声は声帯筋と声帯粘膜が共に振動している状態です。
左右の声帯が離れたあと下から上に向かって触れ合っていきます。(4,5,6,1,2)
中でも 5 の状態になっている時間が長いそうです。
声帯ヒダの下側がついて気管から上がってくる息をせき止めてしっかり振動させる感じです。
甲状披裂筋が収縮することにより声帯が厚くなり
声門がしっかり閉鎖される様です。
裏声 発声時の声帯の動き 図 2
裏声は声帯筋は振動をせず声帯粘膜だけが振動している状態 です。
中でも 2 の少し前、上側の声帯ヒダが触れ合った状態になっている時間が長いそうです。
気管から上がってくる息はあまりせき止められず粘膜のみを振動させて通り抜ける様です。
甲状披裂筋が収縮すると地声になってしまいますからあまり使われず
音程をとるためには輪状甲状筋が使われます。
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ミックスボイスという切り口でこれらのことを詳しく説明している動画をご紹介しておきます。かなり専門的になりますが私にとってはとても面白くよく参考にさせて頂いております。
地声と裏声の使い方について
実際声を出していても、聞いても
地声はしっかり声帯を閉めて鳴らしている感じがするし
裏声(ファルセット)は息が抜けていく感じがしますよね。
慣れると聞き分けられますし,くっきり地声と裏声に分かれている場合と
境目が分からない様に移行する場合があると思います。
音域がせまい、音程がとれない人
たまに歌を歌い慣れていない方の中に
全く裏声を使ってない(出し方も分からないので)
女性でも全部地声で歌おうとしている方があります。
裏声も出せるけど地声で歌うというのではなく
区別が分からないと言う場合です。
地声だけですと訓練しない限り音域も狭く、
しゃべり声の様になってしまい音程がとり難いことがあります。
パンチのある歌が歌えないのは…
合唱などをやっていて、すべてを裏声で歌おうとされる方もあります。
クラシック系の合唱ですと地声は悪の様に感じられるかもしれません。
でも裏声でポップスやミュージカルを歌おうとすると
パンチのない歌になってしまいます。
ポップスやミュージカルでは高い音まで地声をはって出さないと感じが出ないのです。
裏声を主に使っている人には喉の負担が大きくなるので痛めそうで恐いと感じるかもしれません。
同じ音程でも流れや表現によって、人によって裏で出すのか表(地声)で出すのかは変わって来ます。人前で歌う時などはどちらで出すのかを決めておいた方が良いと思います。
声帯閉鎖が強めになり不調に陥る場合も…
女性の歌うクラシックの発声(声楽)ではほぼ裏声を使うのですが
裏声の中にも声帯閉鎖の加減はあると思います。
ドラマティックな表現では閉鎖が強めに聞こえますし
古典やコロラトゥーラなどですと声帯閉鎖が弱く聞こえます。
この加減がうまくいかず不調に陥ってしまっている方がレッスンにみえることがあります。
私も耳で聞いて判断し、アイディアを提案するだけなので
実際声帯がどうなっているかは分かりませんが、
少し声帯閉鎖を弱くする様にもっていくと高音がでやすく、
全体的に声が軽くなり、生徒さんも納得することが。
調子を崩している場合、
ご本人にはどれがいいのか 自分がどうなっているのか
分からなくなってしまっています。
また私には「声帯閉鎖が強すぎてきついだろうな」と感じる声でも
上手く出していれば周りの人も良いと思い、
ただ声を出しているご本人は何か違うと感じているケースもありました。
一人一人体も筋力も違うので特に正解はないと思います。
私がレッスンする場合も生徒さんの話をよく聴いて
困っていること、やりたいことと 喉や体がが上手くいっているかを
全体的に見ながら気持ちよく歌えるところをさぐっていきます。
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