こんにちは
声楽家、アレクサンダー・テクニーク教師
木俣時子です。
声楽のレッスンなどで
「もっと体を使って!お腹から声を出して!」
言われた経験 ありますか?
「歌は喉じゃなくて体で歌うのよ!」
御もっともです。
「体を使って歌う」しくみから考える
声が出る仕組みを簡単にいうと
息が声帯を振動させ
その声帯原音ができ
声道で響き声になります。
さて、この中で体を使うのはどこでしょう
声帯を振動させるための
息を吐く部分だと思われます。
つまり体を使うということは
しっかり息を吐くということです。
当たり前ですが…分かっちゃいるが上手くいかない!
マッピングをしてみましょう
しっかり吐くために使う筋肉はどこにありますか?
お腹周辺ですね。
前から腹直筋(図では除いてあります)
後から大腰筋と腸骨筋(合わせて腸腰筋)
左右から腹横筋
下から骨盤底筋
ザックリでいいので
これらの筋肉をイメージしてプッシュ!
マヨネーズのボトルをつぶせば
ピューと上から中身が飛び出します。
この要領です。
参考記事 歌う時の呼吸
歌う時 体を使えない
上記の要領で上手くいけばそれでいいと思います。
筋力やバランスが伴うことなので訓練が必要です。
時間もかかると思います。
体を使っている感じ(フィードバック)
上手く体が使えている時、どんな感覚をもつのでしょう?
私の経験では
がんばってお腹のあたりに力を入れている時の感覚とは
少し違って自然に体の中が動いてくれる様な感覚
でもこれは人によって違うでしょうし、
つまりあまり使っている感を追い求めない方がいい
と思っています。
呼吸に大切な深層の筋肉は
〈フィードバック〉が少ない筋肉ですし。
丹田
体が使えないと悩んでる方の中に
丹田という言葉が出てくることがあります。
私は丹田を意識せず歌っているので
よく分かりませんが
解剖学的な場所ではなく
腹を据える、というような
精神的意味も含むものだと考えます。
結構奥が深く簡単には理解できないという印象です。
歌うことに必須ではないので
よく分からない場合はあまり気にしなくてよいと思うのです。
上手くいった時「これかー」と思うかもしれません。
丹田というものに囚われて
ギューと力を込めてしまうと上手くいかない場合が多いです。
横隔膜
横隔膜は息を吐き出すための筋肉ですか?
いいえ。横隔膜は息を吸う筋肉です。
ただお腹周りのプッシュだけでは
歌うための繊細な息の流れはできません。
吐く息のコントロールをするために
吸気筋である横隔膜が使われます。
呼気時の吸気的傾向と言ったりします。
みぞおちを押し返すトレーニング
みぞおちに指やペットボトル?をあてて押し返す
呼吸トレーニング これは何を鍛えているのでしょう?
私も長年知りませんでしたが
これは横隔膜のトレーニングだと今は考えています。
お腹を出っ張らせる筋肉は横隔膜しかないと言います。
息を吸った時吸気筋の横隔膜が働き
お腹が出っ張るのは話が合いますね。
でも、みぞおちを押し出すトレーニングは
息を吐きながらします。
このトレーニング自体は悪いものではなく
上記の様に息を吐く時にコントロールをしてくれる
横隔膜を鍛えるのはいいと思うのですが
歌う時(呼気時)
みぞおちを押し出す動きが強すぎて
腹腔をプッシュ(お腹をへこます)ことが
分からなくなっている方があります。
それに関連する様に
歌う時、胸を押し下げる力が強く入ってしまうことも。
基本に帰って練習
上手くいかない時は
素直にマヨネーズで腹腔をプッシュして声を出しましょう。
仰向けに寝て、全身を床に預け
寝息の様に呼気でお腹がへこみ
吸気で膨らむという呼吸を
ゆっくり練習してみましょう
初めは小さな動きでもいいので
無理をせずリラックスしてやってみましょう
何のために体を使いたいのか?
これはとても大切なことです。
発声は複雑で一筋縄では行かないので
ついここを忘れてしまい勝ちです(私も)
体を使いたいのはなぜですか?
先生に言われたから?
では先生はなぜそう言うのでしょう?
それは全身で表現して欲しい
心も体も全部使って音楽を感じ、伝えたい
からではないでしょうか?
音楽から貰えるエネルギーを生かして
体を使って、心も全部使って
歌いたいものです…
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